倉山満  平井基之  理数アタマで読み解く日本史 ─なぜ「南京30万人」「慰安婦20万人」に騙されてしまうのか? 感想

 出版されてから随分日が経ち、感想を書くのがだいぶ遅れてしまいました。発売直後に購入したのですが、読みやすく、良い内容でかつ役に立つので、読んだ後、息子にあげたのです。最近、kindleでも発売されたので改めて、自分用に購入して再読いたしました。

 憲政史家・倉山満先生と受験戦略家・平井基之先生による対談形式のこちらの作品。お二人の軽快なテンポでわかりやすく、楽しく読み進めることができます。

 ・理数アタマで歴史を読み解くとは?

 こちらの著書で平井基之先生が伝えたいコアメッセージ、それがこの3つです。

①過程に注目せよ!
②可視化せよ!
③全体像をつかめ!

 数学の問題、例えば図形の問題を解くときは文章だけではなく、実際、その図を書いて考えることが大事ですし、圧倒的にわかりやすくなりますよね。そしてそこから与えられた情報を元に問題を解いていく。そのようなやり方で物事を見ればよりわかりやすくまた違った視点での理解が出来るということですね。

 ではこのやり方で日本国憲法を見てみるとどうなるでしょうか。

 まず成立過程がそもそもおかしいですし、数字の上からも帝国憲法や今まで日本で作られた法令と違うこともわかります。そして、この本の斬新なところは、帝国憲法、日本国憲法だけでなく、アメリカ合衆国憲法やイギリスの憲法をベン図を使って説明していることです。倉山先生は良く氷山を例にして憲法と憲法典の関係を説明しています。憲法典とは氷山の一角の水の上から出ている部分、憲法とは氷山そのもの。その説明も非常にわかりやすいのですが、ベン図を使うとさらにわかりやすい。まさに可視化です。そして可視化することで、他の憲法との比較もしやすくなりますし、なぜ日本国憲法がおかしいのか、憲法とはそもそも何なのかという全体像も見えてきます。

 ・数字に騙されるな!

 データというのは非常に大事ですし、ある数字が出ているということは、それが何らかの結論のように見えますが、コアメッセージにもあるように数学では結論より過程を大切にするのだそうです。結論が違うということは過程のどこかで間違いがある。そして、出された数字にはそれを出した人の「主観」が入る。その数字に何らかの意図はないのか。例えば「国の借金1000兆円」。なぜ負債だけ見て資産は見ないのか。日本国内の米軍基地の70%が沖縄だというのはどのように計算されているのか。意図的にある数字が出るようにデータを持ってきたのではないのかを疑うこと、その数字がどのような過程を経て作られたのかを見極めることは非常に大事だといえます。

 ・戦略の重要性、9条一点突破じゃダメ!

 平井先生が自分の生徒に教えていることで、テストの開始から5分はペンを持たずに、まずは問題を読んで全体を把握し、どの問題を解くか優先順位をつけるというのがあります。これはかなり重要で、最初に難しい問題に手を付けてしまうと、解けずにパニックになって後の問題が解けなくなってしまったり、時間が足らなくなるようなことになりかねません。まずは簡単な問題を確実に解くことで点数をとる、受験のテクニックとしては非常に重要です。

 これはテストだけではなく、仕事や政治も同じ。簡単なものから取り掛かればいいのに、わざわざ難しいものをやろうとして、全てをダメにしてしまうということは以外にありがちなことです。憲法改正より景気回復の方が簡単なのに、道半ばで憲法改正といいだしたり。憲法改正にしても7条4項の誤植を直す方が簡単なのに、9条一点突破を叫んでみたりなど。

 この平井先生のやり方が非常に有効だということで少し私の体験談を紹介します。偶然にもこれと同じことをして大成功したことがあるのです。とある資格試験ですが、午前と午後の試験があり、どちらも150分。午後は7つの設問があり、知識も必要かつ、長文を読み解きながら計算もしなければならない、150分では時間に全く余裕のないものでした。試験が始まったらすぐに取り掛かりたい気持ちを抑えて、私は全体を眺めました。私は試験範囲の中で「表計算」に絶対の自信があり、過去問でも一問も落としたことがありませんでした。それで「表計算」の問題は最優先で解こうと決めていたのです。そして、表計算の問題は最後の設問、7番目でした。思った通り、全問解くのにぎりぎりまで時間がかかり、解答を見返す時間はありませんでしたが、最優先で解いた表計算は全問正解。確実に点を取ったことが功を奏し、試験に合格しました。これをまともに1問目から解いていたら、得意な問題を時間ぎりぎりで焦ってやることになるか、もしくは時間切れになったかもしれません。

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 ここまで紹介してきたもののほかにも有名中学の入試問題の比較や、「南京大虐殺と三角形の内角の和」などタイトルを見ただけで気になるエピソード、使える受験テクニックなど盛りだくさんです。大人から学生まで楽しめる内容となっております。是非ご一読を!!

※こちらの記事は平成31年2月17日に書かれたものです。