宮脇淳子 倉山満 真実の朝鮮史 感想

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宮脇淳子先生と倉山満先生の対談を一冊の本にまとめた、読む前から面白くないはずがないと確信出来る作品。帯のお二人の笑顔もまぶしい(笑)。お二人の軽妙な語り口をそのまま本にした感じでするすると読めます。

 東洋史が専門の宮脇先生、憲政史研究家の倉山先生、それぞれの視点で話が進むのですが、おもしろいのは読むにつれて「朝鮮どこ?」となるところ。倉山先生は、ほかの著書や動画で、「朝鮮はシアター(場)であって、アクター(関係国)であったことは一度もない」とおっしゃっています。

 国際政治や世界史を読み解くときに、これに注目すると関係や流れがわかりやすいというものがあるのですが、ここで簡単に用語の説明をすると、関係国(アクター)、大国(パワーズ)、覇権国(ヘゲモン)、挑戦国(チャレンジャー)、争点(イシュー)、場(シアター)となります。詳しくは、『じっくり学ぼう!日本近現代史』のこの動画をご覧になることをお薦めします。

 朝鮮史がなぜ理解しづらいか。それは彼らの行動に主体性がないからです。いつも強いものに寄りかかり、その場の対処のみに終始し、しかもその行動は日本人には理解しがたく、その整合性が取れない話の流れに頭がついてこなくなります。それで、朝鮮人の行動を主体として描くのではなく、それに関わったもの、ここでは主に日本と支那からの視点で描くことで流れが見えてきます。東洋史の専門家の宮脇先生と憲政史研究家で日本の近現代史と政治に詳しい倉山先生が朝鮮史について語るのは理想的な形であると言えます。

 両先生のファンにとってうれしいのは、はじめに宮脇先生、巻末に倉山先生の言葉があること。宮脇先生の言葉からは、いかに宮脇先生にとって倉山先生がよき同僚であったか、そして理解者でありよき友人であるかが語られ、倉山先生のあとがきでは現在の嫌韓にふけり、それで溜飲を下げている日本人に対する嘆きが語られます。特に倉山先生の本に共通するのは、歴史に関する本でもただその国の史実が語られるのではなく、それによって現代の日本人がどうすべきかを問う内容になっているところです。

 歴史を学ぶということは、現在の私たちがそれを踏まえてどう生きるかにつながると思います。日本は今までなかったほど嫌韓ムードにあふれています。「嘘だらけの日韓近現代史」の感想でも書いたことですが、韓国を嫌うのは構わないのですが、それでどうするのか、そのことが誰を利するのかを考えなければならないと思います。この本の良いところは、ただ韓国がどうしたかが書かれているだけでなく、その時日本がどう動いたか、その結果、今どうなっているかがきちんと書かれているところだと思います。

 この本を読む前に、どのような雰囲気で語られているのか興味を持たれた方は是非CGSの動画「じっくり学ぼう!日韓近現代史」を見ることをお勧めします。この本を読む際の予習になりますし、この本を読んで、きちんと流れを抑えた後に見てみても面白いと思います。

「じっくり学ぼう!日韓近現代史」【CGS 宮脇淳子】

 最近はやりの嫌韓本とは一線を画すこの本、ぜひ読んでいただけたらと思います。

 ※こちらの記事は平成26年7月10日に書かれたものです。