倉山満 嘘だらけの日中近現代史 感想

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 私が初めて読んだ倉山満先生の本。

 「この本の題名がいきなり嘘です」って出だしから面白すぎ。しかし、よく言われる中国4000年の歴史(最近は6000年に増えた?!)とかが、いかに嘘っぱちかもよくわかります。国としても、民族的にも、領土の広さも全く連続していない、ただそこに誰かが住んでいた、というだけ。しかも、一度でも自分たちを支配したことがある民族の住んでいる国は中国というものすごく怖ろしい論理。宮脇淳子先生の言葉ですが、日本がいわゆる朝鮮出兵(本当は明を攻めたかった)に失敗してよかった。もし、明まで攻め込んで、一度でも支配していたら、「我々を支配していた人たちが住んでいる日本は中国の領土だ!」と言いだしかねない人たちです。

 前作の「嘘だらけの日米近現代史」のスタイルを踏襲していて、まず通説を語り、それに対する反証を語る。あまりにもわかりやすく簡潔に書かれているため、「何々について書かれていない」、だの「参考文献がないから本当かわからない」とかいう人がいるのですが、詳細な歴史を知りたければ、世の中に大量に出回っている歴史文献を読めるだけ読めばよいでしょう。参考文献が書かれていないのは、それこそ大量の文献を読み、それを比較検証して正しいと思えるものを選び抜き、簡潔に語れるまでに自分の中で消化されているからではないでしょうか(あくまで私がそう思うだけで、倉山先生がそう言っているわけではないので断言はできませんが)。倉山先生は、ブログでも「このことの予習用の参考文献は、○○先生の著書全部と、××先生の著書全部、・・・、△△年から後に書かれた□□国に関する本全部・・・」とか、恐ろしいことをしれっと書くおちゃめな方です。なので、新たにいろいろ調べたうえで書かれたと思われる「財務省の近現代史」には怖ろしい量の参考文献がのせられています。逆に、こんな安い新書で今まで知らなかったことが学べる、歴史嫌いだった私でも楽しく読める、さらに深く勉強したいと思えるのはとてもありがたいことです。

 第一章、第一節の「中国史は繰り返す」で新王朝成立から地方軍閥の中央侵入、そしてまた新王朝成立までのパターンを繰り返すという説明がとてもわかりやすい。この本ではそれぞれの王朝の簡単な歴史については触れられているのですが、もっとじっくり学ぶ時でもこれを念頭に置いて考えてみると、また違った発見があるかもしれません。

 しかし、現代はすっかり中国にしてやられている、と思います。日本人はバカ正直というか間違ったことをしていなければわかってもらえると信じ込んでいるというか、それに付け込まれてやりたい放題やられている感じですね。どこかでこの悪循環を止めないと、知らない間に国が滅んでいることもあり得るかもしれません。大変怖ろしい状況です。

 まあ、中国も大変そうではあります。いよいよデフォルトか?という話も最近ではよく聞きますし、かなり報道は抑えられているようですが、各地で暴動やテロが起こっているようです。中国共産党が倒されるか、我が国が知らない間に乗っ取られるか?私たちとしては、敵のゆさぶりには動ぜず、静謐を保つことが一番大切だと思います。

※こちらの記事は平成26年3月27日に書かれたものです。