7日間ブックカバーチャレンジ 4日目 はてしない物語

7日間ブックカバーチャレンジ 4日目 はてしない物語

7日間ブックカバーチャレンジ、4日目。

児童文学の傑作、ミヒャエル・エンデ『はてしない物語』です。

これこそ、ブックカバーチャレンジにふさわしい一冊。
外枠を外した状態はこちら。

母親を亡くし、父親と二人で生活している気弱ないじめられっ子、太っていて外見にもコンプレックスがある、でも本を読むのが何よりも好きなバスチアン少年が不思議な本の世界に入りこんでしまうという傑作ファンタジー。
『はてしない物語』は装丁もそストーリーとそっくりに本が作られて、世界観を忠実に再現し、物語に入り込むためのたくさんの仕掛けがほどこされています。

児童書ですが、私がこの本を読んだのは高校生の時。
実は映画の「ネバー・エンディング・ストーリー」を見たのが先でした。
内容は本作品の中盤まで。
一番肝心の著者・ミヒャエル・エンデの伝えたいことが伝わっておらず、世界観の再現もいまいち(そもそも無理?)で、作者が激怒したそうですが、私は原作を読む前に映画を見たので、映画そのものとしての出来はそれほど悪くなかったのではないかと思います。

そもそも続編ありきで作られていたそうなのですが、あの本を映像として忠実に再現するのは難しいでしょうね。
それよりも作者の死後に作られた、2,3作目がどうしようもなく、なんでこうなったとしか言えない映画で、、、
作品に入り込んでしまったバスチアン少年が手に入れた宝のメダル「アウリン」
それに書きこまれた言葉「汝の欲することをなせ」
バスチアンはまず美しい容姿や力を欲し、自分の望みを叶えていくのですが、物語が進むにつれ、それは本当の望みではないことに気付きます。
それを追及し、たどり着くまでの物語は圧巻です。
ファンタジー作品を読むことは、現実と違う世界を読書を通じて味わい、現実から逃避しつつ、その中で現実と戦う活力にする側面もあるのではないかと思います。
『はてしない物語』はファンタジー世界を楽しむことと、辛くとも現実と向き合うことの両方がきちんと描かれている点で本当に優れた作品と言えます。

著者のミヒャエル・エンデの父は画家のエドガー・エンデ
父親の影響か、エンデの文章は読んでいて強烈に映像や色彩を喚起されます。
特にこの『はてしない物語』を読むと、私は必ず強烈な色彩を伴った夢を見ます。
こどもの小さい時に寝る前に本の読み聞かせをする人はいると思いますが、私も息子が小さい時にこの本を数ページずつ読み聞かせていました。
息子はこの本を読み聞かせられた後、どんな色の夢を見ていたのかなあ。

ちなみにその後、私は大学に進学し、ドイツ語ドイツ文学を専攻し、卒論は『モモ』をテーマに書きました。
私のドイツ好きの直接の要因は『エロイカより愛をこめて』エーベルバッハ少佐なのですが、こちらの作品も私の人生にとって大きな役割を担った作品です。