倉山満 歴史問題は解決しない 感想

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 またまた、倉山先生の新刊。新刊ラッシュで読むのが大変!今までの、倉山先生の歴史観、大日本帝国憲法に関する評価などがギュッと濃縮されたかのような1冊。大変読みごたえがありました。

 私が今まで思いもしなかったのは第五章第三節の『「戦争」が根絶された世界』で「戦争」をなくそうとしたがために、より悲惨な紛争が増えてしまったとの考え方だ。

 ヨーロッパの王たちの果たし合いの末、その慣習が積み重なり国際法となる。このルールが守られていてば、戦争は相手を抹殺するまでには至らない。しかし、その国際法を理解できない国々によってそれは通用しなくなった。

 CGSの動画「じっくり学ぼう 日本近現代史」を見たときも思ったことだが、私は今まで、「戦争」という歴史的な出来事に関しては知っていても、「戦争」の目的とやり方に関しての知識があまりにもなかった。

 学校では、日清戦争や日露戦争は勝ったが、大変苦しい戦争だったとか、第二次世界大戦は悲惨な間違った戦争だったとか、そういう風にしか教わらなかった。何しろ各々の戦争を日本が起こした意味さえも、大人になってからようやく理解できたのだ。だが、倉山先生の著書や動画をみると、日清戦争や日露戦争は戦争目的がはっきりしており、特に日露戦争などどうやっても勝てる相手ではなかったのになぜ勝つことができたのかがはっきりわかる。逆に大東亜戦争は戦争目的に対して、やり方がめちゃくちゃで、しかも相手が総力戦しかできないアメリカだったため、どんどん悲惨な状況に陥っていったことがわかる。

 ヨーロッパ諸国が作り上げてきた法にのっとって、うまくやっていた日本が、国際法を理解できないアメリカに翻弄され、しかもアメリカが世界の中心に居座ることによって、紛争が悲惨な宗教戦争の体をなすようになってしまう。その結果、今まで戦争が終わり、講和条約を結んでしまえばそれまでだった歴史問題が、その後も色濃く残る羽目になってしまった。しかも、日本は自ら、河野談話や村山談話によってそのハードルを上げているのだ。

 世界中で様々な国がパワーゲームを繰り広げている。どんな国でも他国が自分たちより上位に来ることを望むはずはない。日本が歴史問題を解決しようと、何かをすれば、それを良しとせず、引きずり降ろそうとする国が現れるのは当然だ。日本の場合、他国だけに気を配るのでは足らず、自国内の敵をも相手にしなくてはならないので厄介だ。

 おりしも2月3日の国会で維新の会の杉田水脈議員が河野洋平を参考人として招致する要請とそのための活動をする旨の発言をした。私はこの活動を、私のできる範囲で、全面的に応援したいと思う。歴史問題は簡単に解決はできない。しかし、子供たちのためにも、今生きている私たちが、少しでもやれることをやるしかないのだ。

※こちらの記事は平成26年2月5日に書かれたものです。