日本人よ!自虐史観に目覚め、真のグローバリストを目指せ! 倉山満 『ウェストファリア体制 天才グロティウスに学ぶ「人殺し」と平和の法』その1感想 

日本人よ!自虐史観に目覚め、真のグローバリストを目指せ! 倉山満 『ウェストファリア体制 天才グロティウスに学ぶ「人殺し」と平和の法』その1感想 

倉山満先生の新刊『ウェストファリア体制 天才グロティウスに学ぶ「人殺し」と平和の法』の感想です。

今回の著書『ウェストファリア体制』
『ウェストファリア条約』についての本ではないことがポイントです。
ウェストファリア条約は締結されたことによって、それが突然すぐに国際法となったわけではありません。
国際法の概念は非常に難しいのですが、国際法とは条文があって、それが条約として批准されたから法律になるというものだけではありません。
条文はなくても、慣習として確立しているものも数多くあります。
慣習法として定着するには長い時間がかかります。
ウェストファリア条約自体は30年戦争の終結に伴い、1648年に締結された講和条約です。
やがてヨーロッパ公法となっていき、世界の一部の慣習法に過ぎなかったものが、大日本帝国により国際法となった。それが『ウェストファリア体制』である!
ところが日本は敗戦。
国際法を理解しないアメリカ、中国、国際法を理解して破るロシアにより、現在の世界はウェストファリア体制以前の、戦争と平和の境があいまいになってしまいました。
日本はこの現状に対して、世界に対して責任がある!
日本には果たすべき使命がある!

いつもながらすごいと思うのは倉山満先生のこの言い切る力だと思います。
右も左も絶対こんなことは言わないからです。
日本は悪いことをした悪い国なのだから、未来永劫謝罪し続けて小さく生きていけというサヨクは論外として、右の人は、「戦前の日本は素晴らしかった!アジア諸国のために我々は戦ったのだ!日本のおかげで韓国のインフラは整備され、教育は発展し、人口は倍増した!」と言うものの、現在では「保守は反グローバリズム!」「移民反対!」と叫ぶ人が多い。

移民政策に関しては反対の立場の私ですが、四方を海に囲まれた我が国ですら、海外からくる人を止めることは出来ません。
出来るのは法を整備すること。
やみくもに外国人労働者を排斥することには意味がないと思います。
反グローバリズムと言っても、現代は、所謂「鎖国」など出来ません。
そして、どんな大国であろうと一国のみで自国の主権を維持することは難しい。

だからこそ「国際法」が武器になるのです!

もう一つの倉山満先生の凄いところは、主張が一貫しているところです。
倉山満先生の初の単著『誰が殺した?日本国憲法』の頃から、それ以前の「倉山満の砦」を読んでも、国際法を武器として使うことの大切さが語られています。

言論人の主張を理解するためには、ある程度長い期間を置いて、その時の空気や、時の権力者との関係性なども見ながら出ないとわからないことがあります。
倉山先生の主張は、著書を出していない、所謂一般人だった時も、多数のベストセラーを生み出した今も変わらない。
だからこそ、毎回安心して読むことが出来、なおかつ新しい発見もあります。

今回の著書で、天才グロティウスについて、その生涯を知ることが出来ました。
無から有を生み出した天才グロティウス。
戦争という悲惨な殺し合いを、出来るだけ惨たらしいものではないものにするためのルールを、自分の命を危険にしてまで生涯解いた彼は、故郷に帰ることを果たせずに亡くりました。
しかしながら彼の『発見』したもののおかげでどれだけの人間が救われたのか。

正しい言論を貫くことの難しさ、覚悟などを改めて考える機会になりました。

ブログのタイトルを見て、「日本語間違ってる?」と思われた方もいるかもしれません。
ここまで読んで頂いた方ならお分かりになられると思います。
自虐史観と言っても勿論、「日本人はアジアに侵略して、韓国を植民地にして、勝てるはずのないアメリカ様と戦争をして、特攻隊員を犬死にさせた!二度と軍隊など持つべきではない!諸国民の公正と信義に信頼して、憲法9条を死守し!世界中に永遠に謝罪すべきだ!」などといった話ではありません。
そして、グローバリストとは何でしょうか?
国際金融資本?でぃーぷすてーと?ユダヤ?
反グローバリズムを言う人ほど、「八紘一宇」を絶叫して、世界の人が家族のようなと言うのですが、それってもちろん中国、韓国、北朝鮮、ロシアも含めて家族のような世界を作るんですよね?

私はグローバリズムやグローバリストを倉山満先生の定義で使います。

世界史上最も成功したグローバリズムは?

自分に従え!というグローバリズムに対抗するには、自分が最強のグローバリストになればよい!

そのためには国際法という武器を徹底的に学び、真のグローバリストになる必要があります。
戦前の日本人はそれがわかっている人がたくさんいました。
だからこそ、日清戦争、日露戦争とその武器を駆使し、大日本帝国憲法を制定し、不平等条約を撤廃して、恐るべき速さで世界の大国の一員となりました。

現在のウェストファリア体制や国際法を理解しない、理解しながら破る国が大国となり、日本の周辺国である今こそ、『ウェストファリア体制』を学び、理解し、再び真の文明国として日本が立ち上がるべきではないでしょうか?

倉山満先生が、「まずは経済」と言って、専門外の経済に関しての啓蒙活動を続け、消費増税に反対し続けたのも、その一環だと思います。

内容としては固くて難しい話もたくさんですが、いつもの倉山先生の本らしく、非常に例えがわかりやすく面白い本です。
十字軍は自分をウルトラマンと思いこんでいるバルタン星人とか例えが的確過ぎて面白すぎです。
必読です!!