千葉麗子 『ママは愛国』 感想

千葉麗子 『ママは愛国』 感想

 久しぶりに本の感想です。本当は『悲しいサヨクにご用心』が重版ということで感想を書こうと読み返していたのですが、こちらを先に書きたくなってしまいました。

 本の楽しみ方にはいろいろあると思います。きちんと最初から最後まで順番違えず読む人、後書きや参考文献から読む人、著者や出版社からその背景を考える人。私が目を見張ったのはこの美しい表紙です。

 今時珍しい白だけの表紙。そしてシンプルに「ママは愛国」のタイトルと「千葉麗子 Reiko Chiba」の著者名。黒い文字に一点だけ、国の中の「、」が赤い♡になっている。本当にシンプルなのですが、その表紙の白がただ白いだけではない、何とも上品な色合いの白。紙の材質には詳しくない私ですが、光沢はあるのにテカテカしていない。この本の制作に関わった方たちのセンスや著述者としての千葉麗子をどのようなイメージで売りたいのかなど非常に丁寧に考えて作られたのかが伺えます。

 彼女自身の過去に関する記述は本当に短くシンプルですが、彼女がいかに自分の意思で力強く自分の人生を切り開いてきたのかを伺い知ることが出来ます。16歳で福島から上京してアイドルになったにも関わらず、人気があるうちに引退して企業を立ち上げようという決断力。自分の適性や将来をきちんと見据える力がなければ出来るものではないでしょう。そして、反原発運動に身を投じたのも故郷福島に対する思いと、母として確かな未来を息子につなげたいという思いから。保守言論界はどうしても男性の活躍が目立ちますが、彼女のように我が子を愛する気持ちからいったんサヨク活動に身を投じても保守に目覚める女性がいるのだということは知っていただきたいです。

 日本って本当にいい国だ、だからもっと日本のことを知りたいし、皆に伝えたい。それにはどうすればいいのか。それに対して基本的な事、「教育勅語」や「修身」について、千葉さんと一緒に学ぶという形で本書は進んで行きます。

 倉山満先生との対談は必読です。昭和天皇の「玉音放送」は有名ですが、一般的にビデオメッセージと言われている平成二十三年三月十六日の東北地方太平洋沖地震に関する天皇陛下のお言葉も、本来は「玉音放送」です。そして、昨年の8月8日の陛下のお言葉も。その三つの「玉音放送」について倉山先生と丁寧に言葉が交わされます。それを通して千葉さんがこの誇るべき日本という国を彼女の愛する息子に渡したい、そしてもっと勉強したいと気持ちを新たにする流れはとても感動的です。

 日本の凄いところは、日本人なら誰でも当たり前と思っていることが日本以外の国の人にとっては凄いことだったりするところ。お弁当だったり、お菓子だったり、ネイル技術だったり、ほんのちょっとしたサービスだったり。ネイル技術は私には出来ませんが、日本のお母さんって本当は凄い?!謙遜が日本人の美徳なのかもしれませんが、褒められると嬉しいことってありますよね。それはお母さんも国を愛する人たちも同じこと。愛国心なんて言葉を使うだけで右翼呼ばわりされてしまうような悲しい我が国の状況。でも本当は凄い日本や日本のお母さんをちゃんと評価する事は大事ですよね。

 そういった活動を否定はしませんが、日の丸を振ってデモをするより、お母さんにありがとうの一言をきちんということ、きちんと伝えること。そちらの方が、日本を良くすることにつながるのではないかと、母としての千葉さんの姿を見た時思ってしまいました。歴史を学ぶこと、それを伝えることは本当に大切なのですが、当たり前だと思われながら実は凄いことをしている人に感謝を伝えるという当たり前のことが出来る人が保守なのではないでしょうか。そして、それが出来る人でないと結局学んだことが生かせないのではないのでしょうか。

 左翼活動に身を投じる人は総じて、勉強熱心で真面目な人が多いです。教育界は左翼に牛耳られていますので。しかしながら国家を破壊する方向に進んでいく左翼活動。自分の家族、その源たる母親を愛していたらそんなことは出来ないのではないかと思うのです。そして、これは千葉さんと同じ年頃の息子を持つ身だからこその願望かもしれませんが、大学時代の恩師の「子供は母親からの影響を一番強く受ける。だからこそ(母となる可能性のある)女性は学ばなければならない」という言葉からの自身の教訓でもあります。

 新著も好評ですが、まだお読みでない方は是非こちらの方も手にお取りいただけたらと思います。

 ※こちらの記事は平成29年9月23日に書かれたものです。